intro

自分自身の気持ちや考えを文字に吐露するのはいつぶりだろうか。動機は特に何もないが、強いて言うならば友人が素敵な文章を書いているのが理由かもしれない。

 

茶店が好きだ。汚れているサイフォンのコーヒーメーカー。コーヒーとタバコの匂いが服についてしまうほど湿度。マルチ勧誘をしている人、おばさん達の談笑、大学生の恋愛話、全てが心地いい。客それぞれが自分の世界観に入っていて、自分に全く興味がない、そんな空間がたまらなく好きだ。

 

毎回、綺麗な女性が入ってくれば背筋が伸びる。足を組んで本を読みながら煙草を吸う、それが今のサブカルに人気があるのではないかと邪な気持ちで喫茶に通っていた時期もある。しかし、実際には喫茶ペガサスのおばちゃんと談笑するぐらいしかない。

 

私が喫茶店に足繁く通ったのにはきっかけがある。一昨年の3月に初めて私は好きだと思えた女性と付き合った。その子と初めてデートしたのも喫茶店だった。そして5月になれば喫茶店で別れ話をされた。その2ヶ月間、私は夢見心地だった。初恋ということもあるだろうが、毎分毎秒その子のことを考えた。別れた後も頭から離れない期間が数ヶ月続いたころ、私はまた彼女と会っていた喫茶店に向かった。それからも通い続けている私はずっと彼女が木製の重い扉を開けるのを待っているのかもしれない。

 

As I'm listening to the bells of the cathedral...
I am thinking of your voice...

 

Suzannu Vega "Tom's Diner"